青色吐息の国有銀行

東京中日スポーツ6月8日付
2005年06月08日

 
「中国の銀行のサービスは日本より進んでいる」というと、きっと驚かれると思います。でも事実なのです。
まず、営業時間が日本よりも長いのです。1月1日土曜日の夕方5時前だというのに北京の繁華街、王府井を歩いていたら各銀行が軒をつらねて営業していました。

さらに、中国銀行では、日本よりも多機能で最新型のATMが設置されていて、マルチ口座タイプATMでは通帳やカードを入れるだけで、外貨預金残高の確認から両替まで簡単にできます。

私はサービスの程度を知るため、中国工商銀行で、口座を開設してみましが、ほとんど待たされることなく、パスポートを見せて書類に記入するだけでOKでした。

おまけに、建物は、日本の銀行と比べものにならないくらい、近代的で大きく、飛びぬけて目立つすばらしい建物のほとんどが銀行といってもよいほどです。

特に4大国有商業銀行といわれる「建設銀行」「中国銀行」「中国工商銀行」「中国農業銀行」の建物には風格があり、他の建物を圧倒しています。

しかし、その外見の立派さと経営の実態は反比例していて、経営はおもわしくありません。むしろガタガタといってもいいでしょう。多くの中国の銀行は、膨大な不良債権をかかえていて青色吐息なのです。

 中国金融当局の発表によれば、2003年末時点、不良債権総額は22兆4000億元(約31兆円)です。これは、GDPの約21%を占めています。

時価総額の違う銀行でも、その健全化を明確にするために「不良債権比率」がありますが、不良債権の額を貸出金の額で割った「不良債権比率」は、約15%もあります。

ちなみに、日本の場合、2003年度末の不良債権残高(金融再生法開示債権・単体)は、約13.6 兆円で前年に比べると約3割も大幅に減少し、1994年度以来の低水準となっています。

 中国のGDP規模は日本のたった35%でしかありません。それなのに、不良債権比率は日本の2.3倍、GDP占め、不良債権の割合は日本の3.7倍にあたることから、中国の不良債権比率の深刻さが伺えます。

中国企業のほとんどの企業は、国有企業(国が管理している企業)です。国の天下りが各企業に派遣されているために効率の悪い経営状態に陥っている企業がたくさんあるのです。

その国有企業の代表が国有銀行です。
今後、中国企業を根本的に改革するためには、国有企業の代表である国有銀行を改善の見本にしたいという考えから、全国人民代表の政策の中に銀行を上場することを盛り込んだのです。
ところがそんな矢先に国有銀行での汚職事件が発覚し、上場は延期されることになりました。
日本もそうでしたが、銀行の抜本的改革には時間がかかりそうです。

 
 

 

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