原油高はどこまでつづくか?

「ヤフーファイナンス」世界のお金の仕組み 2006年6月13日
2006年06月13日
原油高はどこまでつづくか?
 「トイレットロールをいったい1 回で何メートル使うのよ!」
 目じりをつり上げてトイレの前で待ち伏せされたのは初めての体験で、まだ18歳だった私は、恥ずかしくて家出したくなりました。オーストラリアの物価は日本の7割程度です。それなのに紙の値段だけは非常に高く、トイレットロールは日本の3倍近く、ノートは1 冊300円から500円もします。
 あれから数年(?)、もうすぐ卒業するブリスベンの大学院では、パソコンから印刷するのにA4の紙1枚につき100円も払わなければなりません。ペーパーレスに対応するため、電子図書館にも力を入れています。木の伐採に制限があり環境問題に真摯(しんし)に取り組んでいるこの姿勢には、今では羞恥心より敬意を感じることができるようになりました。
 そこまでトイレットロールに執着心はありませんが、日本でも石油ショックで、トイレットロールを買いだめしていた記憶がうっすらとあります。
 今回の原油高は、中国の生産過剰が影響しています。アメリカや日本に次いで自動車販売台数は世界3位、年間700万台も販売されています。アメリカにも原因があります。原油の輸入が途絶えることを恐れ、国家備蓄を約6 億7000万バレル(barrel)保有しているからです。
 アメリカがイラク侵攻後、石油を輸出できなくなったころから価格は上昇し、1 バレル=40ドル台になりました。9月末には47ドルを突破、ロシアの石油大手企業ユコスの業績が悪化し中国向けの輸出の一部を停止したこと、ハリケーンでアメリカの石油精製施設が被害を受けたこと、さらに産油国ナイジェリアの政情不安なども価格上昇の追い風になりました。
 1バレル=70ドルを超えた現在、原油獲得でアメリカと中国が競っている間に、私の生活においては、苦い思い出のあるトイレットロールが7月から2割以上も値上げされます。石油を使ってお湯を沸かす銭湯屋さんや大豆を煮る納豆屋さんなどの中小企業は、ますます打撃を受けることになります。
 価格上昇に歯止めをかける方法はドルを強くすることです。石油の消費1位のアメリカと3位の日本の通貨は売られ、影響の少ないオーストラリア、ニュージーランド、カナダの通貨は買われる傾向にある中、ドルを高くしなければなりません。また、一方で原油高等によるインフレ懸念で金利が上昇しています。どちらにしてもアメリカは本当の意味で経済大国ではなくなったのではないでしょうか。そんなアメリカのことなんてどうでもいいけど、その悪い風邪が日本にも感染しなければいいのですが……。
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