外国人採用枠が増えても就職難は続く

日経アソシエ NBonline Associe 「超競争社会・中国のビジネスパーソン」
2008年09月04日
 最近、日本企業の新卒枠に外国人(特に中国人)を採用するところが増えています。例えば、中堅家電量販店のノジマは、2009年春の新卒外国人留学生の採用数を倍増します。30人の採用を予定していて、そのほとんどが中国人になる見通しだそうです。
 外国人留学生の採用数を増やす主な理由は、人手不足の解消や、外国人向け商品の販売力強化があります。海外展開に向けて、人材を育成する狙いもあるといいます。
 ここ数年、日本のマーケットで中国人観光客の存在が強まっています。実際、秋葉原やデパートでは、商品をまとめて購入するお金持ちの中国人観光客を多く見かけます。「中国語のできるスタッフがほしい」という企業が増えるのは当然でしょう。
 外国人採用状況をみると、採用企業の3割近くが情報通信業です。情報通信業の企業は、中国人留学生の「技術力の高さ」を評価しているそうです。「国籍に関係なく優秀な人材を確保したい」という、人材調達のグローバル化が着々と進んでいることが分かります。
 では、中国人留学生は就職バブルかと聞かれると、そうでもありません。私の周りの学生は、就職活動で悪戦苦闘している人がほとんどです。「野村証券インサイダー事件のせいで金融会社はすべて落ちた」「日本語の能力不足で10社落ちた」「採用する気がないのに形式だけで採用試験をしているところもある」といった苦労話は尽きません。
コネや根回しが必要と考えている
 不採用になった理由を中国人留学生に聞くと、多くは「コネクションがない(中国ではほぼ100%コネがないと就職できないから)」や「会社に挨拶にいかなかった。お土産を持っていかなかった(中国では根回しが必要だから」と間違った認識を持っていることが分かります。
 日本の企業で働く中国人の先輩から聞いて、初めてコネやお土産が効果がないことを知るケースも多いそうです。ですので、中国人留学生が日本の企業に就職するためには、日本企業独特の文化をしっかり学ぶ必要があります。
 私の知っている日本企業に勤める中国人ビジネスパーソンは、よくOB訪問をしてくる後輩に日本企業に就職するためのアドバイスをしているそうです。以下がその内容です。
【1】年功序列制度について

 中国では成果主義が普通だが、日本には年功序列という考え方がある。年功序列を理解できない中国人が多いが批判してはいけない。間違っても年配者であまり仕事ができない人がいても邪険にしてはいけない。経験者を敬う姿勢と入社数年は謙虚な姿勢で学ぶことが大事だ。実力勝負で自分のために働くというよりも、会社のために働くということをアピールすること。

【2】チームワークについて

 中国人は個人主義者が多く、チームワークのない人が多い。日本の企業でやっていくには、チームワークを重視しながら働く姿勢が大切である。日本の企業は、教育研修制度が充実していて仕事を学ぶには良い環境だ。実際、チームワークが素晴らしい。自分が協調性のある人間だということをエピソードとともに伝えるといい。

 中国人留学生が就職活動で成功するには、面接時に「チームワーク力があって日本の企業、文化になじめる」という点を具体的なエピソードを交えて強調することが大切なようです。企業が求めている中国の知識のほかに、日本人の新卒のように会社をすぐには辞めないという忍耐強い面もアピールした方がいいとも語っていました。
 日本の企業では、中国の企業と違って、チームワークを重視します。成果主義を実施している企業でも中国人ビジネスパーソンの個人プレーは、疎まれる対象となりかねません。日本の企業になじめるかどうかは、この点にあるといってもいいでしょう。

 日本には約11万人の留学生がいて、そのうちの7割以上が中国人です。増えてきているとはいえ、外国人採用枠のある企業はまだ多くありません。中国人学生に聞くと、募集している企業を探すことさえも大変だそうです。多くの中国人留学生に勉強を教えている身としては、さらなる採用のグローバル化が進むことを切に願います。
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