人脈作りのためなら、あらゆる手段を尽くすのが中国流

日経アソシエ NBonline Associe 「超競争社会・中国のビジネスパーソン」
2008年07月03日
 「保証人になってくれませんか」――。初対面の人に聞く質問でないことは、日本人なら誰でも知っている。だが、中国人はこんな質問も当たり前のようにしてくる。多くの場合、初対面の人が即OKしてくれることは少ない。それでも聞いてくるのだ。
 私の知人で日本の大学院に通う留学生、謝朴さんの奨学金が切れた時の話をしよう。彼女は奨学金を第三者から得ようと必死だった。そこで精力的に行ったのが人脈作りだ。私は彼女のなりふり構わない人脈構築の方法を今でも忘れない。それほどインパクトがあった。彼女が考えて行動した内容は以下の通り。
【1】金を出してくれそうな人は誰か?
自分を必要とする企業。もしくは、お金持ち。医者や弁護士、大学の教授、それに中小企業の社長を狙う。
【2】その人に会うためにはどうすればいいか?
接点を持つ近道として、社会奉仕団体の「ライオンズクラブ」や「ロータリークラブ」などに所属する。(そこには大学の教授もいるので、企業から奨学金がもらえなくても、大学やライオンズクラブが出す奨学金制度を狙えばいい)
【3】会えた場合、挨拶だけで終わらせないためにはどうするか?
自宅に来てもらい料理でもてなす。もちろん自分の家族も紹介する。自分のことを分かってもらうために、研究論文なども手渡す。
 彼女は既に、家族や兄弟を日本に呼んで生活していた。次の奨学金をもらえなければ、家族揃って帰国しなければならない。けれども、家族が一緒に帰国する旅費さえなかった。こうなると必死である。奨学金を是が非でも手に入れる必要があった。
 そして彼女は、計画した内容を実行に移した。狙った企業や人が出席するパーティに精力的に出かけ、人脈作りを必死に行った。結果は、彼女の努力が実り、3カ所から奨学金を手に入れることとなった。
 知り合った人からは、奨学金だけではなく、家族のアルバイト先も面倒みてもらったそうだ。その人とは、今でも交流が続いているという。露骨ではあるが、必死になってお金を工面する彼女の姿に心をうたれる人もいるのだ。
 次は、中国企業から日本企業へ転職した中国人ビジネスパーソン張建国さんの人脈作りの方法を見ていこう。彼は「大手パソコンメーカーの社長と知り合いたい」と思い立った。
<大手パソコンメーカーの社長と知り合うための方法>
【1】社長が通った中学から大学までの出身校を調べる
【2】社長が住む自宅の住所を調べる
【3】社長が参加している地域のスポーツクラブ、ゴルフクラブを調べる。そこに参加して、社長の同級生や先輩と知り合う。また、社長がいつもお世話になっている人を知る
【4】社長のコレクション、好きなものを調べる
【5】社長と出会えて挨拶ができたら、名刺交換をして必ず一緒に写真を撮る(今なら携帯で)
【6】社長にお礼のメールと手紙を送る
【7】社長に送る手紙には、簡単なお土産を添える(それもその人が好きなものを入れる、できればプレミアムがつきそうなもの)
【8】確実に自分の名前を印象付けるため、定期的に「旅行に行ったので」と何かと理由をつけてお土産を渡す
【9】社長がいつもお世話になっている人に同席してもらって食事をして、本来の目的であるお願い事を聞いてもらう
 日本のビジネスパーソンの場合、知り合えたということだけで満足してしまう人が多い。とりあえず知り合っておけば、転職や起業する時に何かお願いできるかもしれないと考えるからだ。どちらかといえば、目先の利益ではなく、「将来のため」と漠然とした理由で人脈作りに励んでいるといえる。
 現在では、人脈を作ろうと業界のパーティなどに参加するビジネスパーソンが増えていると聞くが、ここまで徹底してやっている人は少ないだろう。
 自分の実力なんてびびたるもの、人の協力があってこそ成功する。「実力=人脈」ということが文化的、経験的に分かっている中国人だからこそ、ここまでやるのだ。情報を駆使して、メール、はがき、電話などを積極的に使って相手との距離を縮めていく。
 中国人の場合、家族や親戚も総出で人脈作りをサポートする。会いたい人とその目的を家族や親戚に伝えれば、相談した数時間後には、親戚などが数十人も集まり、人脈作りのために動いてくれる。
 中国は、人脈作りがすべてだといっても過言ではない。どんなに実力があっても積極的に人脈を作っていかなければ、総人口が13億人もいる中国では日の目を見ることは少ない。
 日本でストレートにこの方法をやると、野心丸出しの、がつがつした人と見られてしまうかもしれない。挨拶の後、いきなり何かの保証人になってくれ、金を出してくれ、これを一緒にやってくれ、などと言われれば誰でも気分が悪い。しかし、必死になっているその姿を見て、快く引き受けてくれる人がいるのも事実だ。あいまいな人脈作りしかできない日本人は、中国人の積極的な人脈作りを少しは取り入れるといいかもしれない。
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