経済規模、企業のあり方、所得格差……。すべてが破格の大国・中国

2016年11月16日

キャリタス就活 キャリタスFINANCE プロの視点

激動の中国経済、金融、生活実態に迫るリアルレポート

<第1回>経済規模、企業のあり方、所得格差……。すべてが破格の大国・中国

2016.11.16 https://job.career-tasu.jp/finance/columns/pro009/001/

グローバル化が進んだ今日、学生である皆さんの中には、将来は世界で活躍したいと考えている人も多いのではないでしょうか。特に多様な文化、言語、民族によって構成されるアジア諸国を舞台に、“活躍”や“成功”の二文字を手に入れたいのであれば、正しい情報収集や、その国の“いま”を理解することが非常に重要になってきます。

そこで本連載では、大国・中国の“いま”を理解する一助として、中国でビジネスに関わり、中国経済のスペシャリストでもある柏木理佳さんにお聞きしました。

世界2000社の有力企業ランキング。上位3社が中国企業

中国の企業は、政府が資本投入し、管轄下に置く「国有企業」と、政府の資本介入が少ない「民営企業」に大別されます。エネルギー、マスコミ関連など国の重要な情報の基盤となる産業の多くが国有企業です。非効率的な経営が続き赤字を計上している企業が多いため再編が行われていますが、なかなか進んでいないのが現状です。

上場企業数は、上海証券取引所、深セン証券取引所、香港証券取引所を含めて4000社余りです。日本の東京証券取引所、大阪証券取引所の合計数を超えています。個人事業主は5000万人と日本の人口の半数近くを占めています。この数字だけでも中国のダイナミックさがうかがえます。民営企業の増加とともに業績の伸びも現在の中国を語るうえで見逃せないポイントです。

次に「Forbes」が発表した2016年版の「世界の有力企業2000社ランキング」を見てみましょう。このランキングは世界の株式公開企業を売上高、利益、資産、市場価値から総合評価するものですが、その上位10社を見てみましょう。

8位に米国のアップル、10位に日本のトヨタがランクインしていることからも、1・2・3・6位に中国企業が名を連ねていることのすごさがわかりますね。さらに、10位以下にも中国移動通信(11位)、中国平安保険(16位)の民営企業もランクインしています。

業種・企業によって異なる、政府の関与度

世界の有力企業のランキング概況を理解したうえで、次は業種別の「国有支配構造」を見ていきましょう。

表は、政府の関与の大きい順に主な業種を示したものですが、最上位の「社会公共安全設備、金融、マスコミ、郵便通信」は、政府の絶対的な支配地位を保持すべき業種となっていて、外資系企業や民営企業は参入できないエリアになります。特にマスコミ・金融業界では、企業統治、取締役や独立取締役、独立監査役が政府の人物であり、全ての重要決定を行っています。電力会社などには一部民営企業もありますが、その資本の半分近くを政府が出資しており、政府の関与は細部にまで渡っています。

また、大手国有企業などが赤字を計上するケースや、不祥事企業が増加し問題視されていることから、米国型にならい、上場企業は監査委員会、指名委員会等を設置し、独立取締役2名以上(うち一人は公認会計士)を配置することが義務化されています。とはいえ、設置当初はあくまで形式的なもので、特に国有企業の場合は独立取締役、監査委員会、指名委員会といったメンバーも政府関係者で構成されていたケースが多く、本来の監査・監督すべき部分が曖昧になってしまっていたのが実情でした。これはつまり「政府が政府をチェックする」構図のため、経営者を監督する本来の目的が有耶無耶になっていたのです。

米国を抜いて、大富豪の数も世界1位に

今日では、習近平国家主席の「虎もハエも同時に叩く」といった大号令の下、証券監督管理委員会において監査チームの権限が拡大され、不正チェックの体制も強化されています。「隠れみの」となっていた銀行口座まで確認できるよう厳しく強化している点も、大きな進化と受け取れます。

また、今年初めて「国別大富豪人口」が米国を抜いて中国が1位になったと、メディアで報じられています。中国国内のごく一部を占める大富豪は、不動産価格が上昇したことから不動産経営者などが占めています。しかし、実は中央政府の官僚や大手国有企業の幹部であるケースも多いとされています。そのからくりは「収賄」にあります。賄賂といっても中国の場合はケタ外れ。一度の収賄額が数百億円にのぼることも珍しくなく、こうしたことから利権を所有する人が、巨万の富を有する構図が出来上がっていったといえます。

一方の農村部(内陸部)に目を向けると、同じ国でありながら非常に貧しい国民の生活ぶりが見えてきます。国民全員が平等であるべき共産主義国家で、どうしてそのような格差が生まれてしまったのでしょう。次回は「格差を生んだ構造」を解説することで、より深く中国の“いま”を理解していきたいと思います。

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