中国でビジネスをしたい若者に伝えたい、成功を手にするテクニック

2017年01月18日

激動の中国経済、金融、生活実態に迫るリアルレポート

<第5回>2017.1.18 https://job.career-tasu.jp/finance/columns/pro009/005/
中国でビジネスをしたい若者に伝えたい、成功を手にするテクニック

経済成長を遂げる中国を中心にアジアの経済は今日、世界中から注目されています。日本の学生のみなさんも、アジアでの就職や起業を考えている人が増えているでしょう。

そんなアジアでの就職・起業に興味のある皆さんに向けて、今回は特に中国で成功をおさめるために、押さえておきたいポイント・コツをご紹介します。

現在、中国経済は都市部におけるIT・サービス業の台頭と、内陸部(農村部)における公共投資によるインフラ整備が原動力になっています。これらを背景に、成功する具体的なポイントをいくつかご紹介していくことにします。

中国でのビジネスを展開させたいなら、まず周辺諸国から

私は現在日本で暮らしていますが、20代前半では香港を基点に働き、中国の北京首都師範大学へ留学後、20代後半でシンガポールに移住しました。今でも日本から中国、シンガポールなどに進出する際の橋渡し役を務めていますが、かつてはシンガポールに拠点を置くIT関連メーカーと合弁し製造・開発した製品を日本に輸出する業務とともにマレーシア、シンガポール、ベトナムなど中国進出を考えている日本企業に対して、ビジネスコーディネーターとしての役割も果たしていました。

例えば、日本で展開するクリーニングチェーン店の会社が中国、シンガポールの進出を考えていたとします。

中国やシンガポールではクリーニング・サービスが日本ほど普及していなかったため、大きなビジネスチャンスが潜在していました。しかし、企業の設立方法や準備などが日本とは大きく異なります。日本では会社設立はさほど難しくありませんが、中国の場合は政府の許可を得たりあらゆる面で状況が異なります。家賃の交渉などにおいて日本人だと値段を高く設定されることもあるため、まずは周辺諸国のシンガポールやマレーシアなどの現地企業と合弁契約を結び、そこから中国に会社を設立する方法もあります。

平行して、将来上場を考えている企業ならば、中国の証券監督管理委員会などの政府関係者と人脈を作っておくことも欠かせないポイントです。また、中国は政策が常に変化している国ですので注意が必要です。例えば、現地での工場を建設する場所を視察した際に、「この敷地は工場の建設が可能だ」と言っていたのに、次に訪問した際には「政策転換によってここは工場建設が可能な地域ではなくなった」と言われることも決して珍しくありません。こうしたことを防ぐためにも、政府関係者とコネクションを作っておくことが必要なのです。政策が決定する前に情報を入手しやすくなるうえ、様々な面でロスが軽減されます。

日本人は直接、交渉しない

受験勉強をする際にも参考書を購入したり、苦手分野を分析したり……といろいろな準備が必要ですね。それと同じく、海外進出時にも準備が必要です。私が過去に携わっていた業務は、中国の周辺諸国において設立準備のための手続き、国内外の工場の視察、合弁会社との交渉・手続きといった準備にはじまり、契約完了までのコーディネートも行っていました。しかし例えば同じ中華圏であってもビジネスの方法や考え方は異なります。また同じ「華僑※」によっても、シンガポールとベトナムでは、ビジネスに対する考え方がまったく異なり、その相違を短期間で理解することはとてもハードルの高い仕事でした。

中国でのビジネスをスムーズに進め、リスクを分散するためにも、「周辺諸国との合弁企業からスタートさせる」「中国の政府関係者との人脈を作る」「華僑や政府関係者に交渉してもらい、日本人は直接交渉しない」といった具合に、ビジネスの方法が日本とは違うことを理解したうえで、慎重にビジネスを進めていく必要があります。つまり無鉄砲に突入すれば、失敗する確率が非常に高いことを、事前にしっかり理解しておく必要があるのです。

日本と大きく異なる「成果主義」「人脈」「スピード感」

ピラミッド型の組織構成の日本企業と比べて、中国のハイアールなどの民営企業では欧米型の成果主義が導入され、個人が能力を発揮しやすくなっています。一般の日本の会社では、昇進、出世するには、勤続◯年以上といった経験がないとなかなか出世できず、また給与も上がりませんが、中国では20代後半〜30代後半の給料が50代の給料を上回ることも珍しくありません。これは、年齢が下でも自分より実力のない上司を追い越すことができるというモチベーションがあるからです。

また、日本ではチームワークを大切にしますが、中国は個人主義で肩書きを評価します。いかに人脈を持っているかが出世につながる鍵になります。例えば、中国では二人以上の人が集まると写真を撮りたがります。これは単に写真好きだからではなく、写真を見せることで「私は◯◯さんと知り合いだ、コネがある」とアピールできるから。13億人もいる中国では、人脈が人より抜きんでていなければ物事を先に進めることができないのです。

加えて、上下の人間関係を重んじる文化から、慎重にひとつひとつのことを進めていく日本に対して、米国同様に短期間で決めるスピード感も中国の特徴です。このことから、欧米企業では「決定が日本より早く、物事がスムーズに進む」と評される場合もあります。

キーワードは「IT」「サービス」「地方進出」

広大な国土ゆえに「中国」をひとくくりに捉えがちですが、中国進出を考える場合は都市部、内陸部といった目線で中国を考えることも重要です。

まず、都市部の需要をみてみましょう。例えば、私の知人が北海道で魚介類の販売会社を営んでいますが、中国語サイトをオープンしたところ、膨大な数のカニの注文が中国の都市部から舞い込みました。上海人の間では、秋に中華レストランで上海ガニを食べることが楽しみの一つになっていますが、日本円で1万円ほどします。小さい上海ガニに比べ日本のカニは大きくて柔らかいと流行りだしていたのです。中国の都市部の人々の需要を追求しうまく消費につなげた成功例といえます。中国に工場やオフィスを設立しなくても、日本にいながらにして膨大な利益を生み出すことができたのです。

次に内陸部(農村部)ですが、まず農村部が都市化されていくのに数十年を要することを理解しておくことです。地方での経済成長産業は都市部と違うこと、またサービスについても都市部に比べて大幅に普及していないため、その地域のスーパーやデパートや商業ビルなどの第1号店もしくはサービス分野の第一人者になれば、多くの需要があり消費が拡大することが見込めるという単純かつ明快な図式が存在することも確かです。また今後、インターネット回線が普及すれば、デジタル家電(デジカメ、スマホ、DVD・Blu-ray、薄型テレビ)も普及するでしょうし、パソコンやスマホを使ってネットでの買い物も拡大するでしょう。これは、日本企業が中国に進出しなくても、中国の地方にもビジネスチャンスが広がることを示しています。

個人がチャイニーズ・ドリームを実現するために

日本企業で就職した中国人からは、「日本の会社で働いても出世しづらい、上司と意思の疎通が図りづらい」といった声が聞かれました。こうした問題から中国人留学生は「日本企業にいったん就職する」➡「充実した研修を受けてから数年で退職」➡「中国に帰り国有企業に就職する」➡「国有企業で政府関係者とのコネクションを作る」➡「米国との提携がある民間企業に転職する」➡「最終的に本国の米国系企業で働く」……といった具合に、学生時代から明確なキャリアプランニングを描き、計画的に実行しています。まず、日本企業に就職して研修などにより基本的なルールを学び、国有企業で政府関係者と人脈を作ります。それらの人脈を利用して米国企業と提携している企業に転職、その間に英語を勉強して個人の能力を発揮しやすい米国企業に転職するケースも多くなってきているようです。もしも中国での就職や進出を考えているならば、中国人学生のようなキャリアプランの明確さ、「中国」をマクロとミクロな視点で捉える力や自身のキャリアアップに繋げる「したたかさ」が必要になってくるでしょう。

最後になりますが、中国マーケットにはまだまだ成長していく分野があり、チャイニーズ・ドリームを実現できる可能性を秘めています。特に中国の地方でビジネスを展開させる場合は、インフラの整備、物流の流通など長期スパンに立ったビジネスプランを考えるべきです。中国で活躍を志す方は、IT関連業、サービス業、環境業といった、ありとあらゆるシーンから中国に必要なモノ・需要を想定してみてください。ぜひとも将来、成功を手中におさめてほしいと願っています。

※華僑=中国本土から海外に移住した中国人およびその子孫

Copyright (C) 2009 RIKA KASHIWAGI. All Rights Reserved.