エンタメ全解剖

週刊ダイヤモンド
2008年08月18日
 今年8月に、上海SMG放送とよみうりテレビ放送で、「応援しまっせ! 2010年上海万博」という情報番組が放送された。8月8日に北京オリンピックが始まったばかりだが、上海では、すでに2年後の万博が話題になっている。
 そのキャスターを務めたのが矢野浩二。ここまでブランド力があがるまでは並大抵の努力ではなかった。もともと俳優を夢見て大阪から上京、タレントの運転手として費やした。その後、中国へ渡り日本語の先生をしながら中国語を習得。所属先や仕事を探す。02年仕事がきたが、戦争映画に中国人を殺す軍人役としての出演。その映画は、中国ではよくあることだが、検閲が厳しく、3年も放送されない。ようやく05年末に放送されるとになったが、そのほかのドラマ出演と同時に06、07年にたて続けに放送された。軍人の矢野浩二が中国人を殺しているシーンばかりである。そこで殺すときに感情を抑えずに涙を流す。軍人役をなど反日感情に考慮した。これが大ヒットにつながった。初めてのバラエティ番組出演中、突然ドラえもんの歌を中国語で歌わせられた。日本のように出演者の意向を確認したりきちんとした台本がい。阪弁も交えて歌った。臨機応変な対応がうけた。その後は日中交流のブランド力がアップ、バラエティの司会や日中の友好イベントなどにひっぱりだこ。中国でもっとも人気のある日本人俳優といえる。
 07年の総収入は約2兆円以上、中国映画の興行収入は500億円を超えた。映画史上の興行収入の増加率は5年連続で世界一を記録した。
 北京電影学院(中国No.1の映画専門大学)の演劇科に外国人として始めて合格した女優の前田知恵さんは、二年後に伝統京劇を習っている日本人の役として映画に主役として選ばれた。日本では主役を得ることが難しいが中国ではライバルが少ない。海外で放送されているNHKの特集で取り上げられ、ブランドが上がり中国で売れてから拠点を日本に移し日本でもレギュラーを獲得した。
 今、中国で活躍する日本人の俳優、歌手、タレントが増えている。それを後押ししているのが、芸能プロダクションだ。06年末には本格的にアミューズ、吉本興業などが進出した。
 浜崎あゆみの所属するエイベックス・グループ・ホールディングスは中国の総合エンタテインメント企業「橙天エンタテインメントグループ」と合弁会社「AVEX CHINA.,LTD.」を06年末、北京に設立した。資本金は約7億5,000万円。中国でアーティストを発掘することとアジアの拠点とすることを戦略づけた。さらに注目は携帯電話向け音楽配信。単価は一曲15円。中国の携帯電話ユーザーはすでに六億人を突破、日本の四倍以上に拡大。しかしその一割もまだこのサービスを利用していない。日本の800億円近い市場規模と同じように音楽を携帯で聴く中国人の若者の増加を狙う。
 テレビも特殊である。今もなおSEXシーンは規制があるが、中国では60チャンネルが見られ、ドラマは毎日2枠、2回ずつ放送され地方局とキー局、ゴールデンタイムとそれ以外の時間帯という差別がないから誰でも短期的にスターになるチャンスは隠されている。中国のこれからの市場は農業とこのエンターテイメントに残されているといえる。
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