香港市民のしたたかさに学ぶ

2003年03月27日
リーダーな女たち
毎日新聞夕刊2003 年3 月27 日掲載
注目の中国株アナリスト柏木理佳さん

「香港市民のしたたかさに学ぶ」
 「わかる・儲かる・中国株」(全日出版)と「これが定番!!中国株実践マニュアル」(東邦出版)の中国株に関する本を2
冊出している。ほかにも、株式専門誌「ゴールデンチャート」「産業と経済」で中国株コーナーを連載するなど、今や中国株の第一人者。その柏木さんの前身は、キャセイパシフィック航空のスチュワーデスだった。
 スチュワーデス時代の1992 年~95 年、香港で暮らした。そこで、市民が「どうやってもうけようか」と日常会話の中で話していた。株の専門家でもビジネスマンでもない主婦が、飲茶をしながら会話している光景をみて、中国市場の拡大を感じた。
 95 年から半年間、北京首都師範大学漢語科に語学留学した。「高級ホテルに泊まっていたスチュワーデスに、刑務所のような大学寮は無理」という周囲の説得を払いのけて飛び込んだ。そして、「スチュワーデス」として扱われるより、「柏木理佳」という個人で勝負したいと思うようになり、キャセイを退社した。今では日本語、英語に加え、広東語や北京語も話せる。
 その後、シンガポールに貿易会社を設立し、99 年に帰国。NHKの契約アナウンサーを経てフリーになる。中国株専門番組のCS日経CNBC「ニーハオB株中国株式ホットライン」ではキャスターを務めるなど、中国株にはまっていった。

 日本人の知人が中国株で成功したのを見て、自分でも中国株投資を始めた。無償分割、増資、配当利回りなど、日本より魅力は大きい。今後の市場の成長性についても、「10 年で日本の東証に追いつくとも言われています。当面、拡大し続ます」と予測する。
 しかし、中国の市場開放からまだ13 年足らず。ギャンブル的要素が残っているうえ、政府の改革開放路線に対する不信が消えたわけではもない。そこで、チャートで過去の実績を調べ、きちんと分析できるようにと、テクニカルアナリストの資格を取った。
 中国株は日本株と仕組みが違う。勉強しないで、株価の動きを見ただけで投資するのは危険。定年退職した人が、退職金全額を注ぎ込むケースもあるという。「中国株は3
万円くらいから始められます。仕組みを勉強してから徐々に投資額を増やすことを勧めます」とアドバイスする。
 中国株だけではない。自分の体験を生かし、スチュワーデスを目指す女子学生たちにアドバイスする「キャリアカウンセラー」の資格も持つ。自身のホームページ「キャリアカウンセラー柏木理佳の日記」では月1 回、メールマガジンを発行している。
 現代日本の若者には、豊かなのに「自信のない人」が多いという。「自分の大学からスチュワーデスになった人がいない。どうしたらいいか」といったように、形から入る。「なぜなりたいのか」と目的を明確にさせ、自己分析させる。そして、自分の魅力や長所を伸ばし、自信を持たせるようにする。
 常に前進し続ける積極性は、どこから生まれるのだろうか。

 「スチュワーデス時代の香港生活が自分を変えた」と振り返る。97 年の中国返還の直前、市民は将来に不安を持っていたが、「今日は今日。ダメならダメで、あきらめる。次の日は次のことを考える」という香港市民のしたたかさに強い影響を受けた。
 現在は、国内の執筆活動に追われる毎日。休日は、ひたすら寝ているという。そんな柏木さんの趣味は「競輪」。こっそり教えてくれた。【湯原美登里】

鹿児島県出身。エドワード大学(現テイラー大学)(豪州)卒業。キャセイパシフィック航空のスチュワーデスとして92~95
年、香港在住。NHKの契約アナウンサーを経てフリーに。経済誌連載ほか、「わかる・儲かる・中国株」(全日出版)など著書多数。現在、毎日インタラクティブ「アジアの目」でコラム「ディープチャイナ」を連載中

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