上海の少子化問題が深刻

「月刊 産業と経済」2007年2月号
2007年02月01日
上海の少子化問題が深刻
 上海というと若者の都市という印象がある。しかし、実際に行ってみると一部の観光スポットなどを除いて若者はほとんどみかけなかった。25~44歳の労働人口が非常に少なく、高齢化が加速している。上海市の戸籍人口の年齢構造はすでに「高度警告期」に入った。地方からの出稼ぎ労働者による
 流動人口の増加により、上海市の総人口はまだ増加中である。上海市のそもそもの住民をうわまるかのように地方からの流動人口が迫っている。

 

出稼ぎ労働者の流動人口が住民を超えそう
 「労働報」紙の報道によると、上海市人口・計画生育委員会主任の謝玲麗氏は、「2005年末現在、同市常住人口は1778万人、戸籍人口は1360万人と発表している。
 しかし、実際には上海市住民の若者が激減している。高齢化が進み一人っ子政策により少子化現象がすすみ、労働力の基礎となる25~44歳の人口が明らかに減少、45~59歳の労働力人口も大幅に増加している。

 

世帯数は2.76人
 家族を大事にする中国人の独特のしきたりも核家族の増加によりなくなることも懸念される。1991から1993年における1世帯の家族数は3人だったが2004年には2.76人に減っている。上海市ではこういった戸籍人口の年齢構造は、すでに高度警告期に入っていると警告をもたらしている。
 もっとも上海市ではすでに戸籍人口は13年間もマイナス成長である。それでも、出稼ぎ労働者による流動人口は増加しているため、全体の総人口は増えているといった現象がおきている。

 

インフラの整備が追いつけない
 そのため一人っ子政策を解除することも、さらなる政策を出すこともひかえざるをえない。それどころか、人口増加によるインフラの整備やマンションなどの居住による土地問題、交通、住宅、公共サービスは需要を満たせない状況である。しかしながら2010年の上海万博が終われば出稼ぎ労働者の需要は減るため地方に戻ることになる。そうなったときに本格的に本当の質のいい労働者不足が問題視されることになるだろう。

 

エリートは増えても質のいい人材がいない
 中国の海外の大学を卒業した人の数は年々増えているが、いわゆる多国籍企業がほしがっている外国語や技術力、そして協調性を備えた人材は少ない。
 コンサルタント会社マッキンゼー・アンド・カンパニーは、中国経済が製造業からビジネスサービス業へ産業を転換する過程で人材不足は足かせになるとしている。

 

技術者不足は中国経済成長の足かせに
 このところ、アメリカの3倍の数の300万人以上が大学を卒業している。しかし、中国の大学は理論などを重視し主動性に欠けている。さらにアメリカの9倍にあたる60万人のエンジニアが育成されているが、外資系企業や多国籍企業の需要とは違う人材が育っている。使える人材に育つのは3分の1以下である。
 中国は今後10年以内に、外資系企業での勤務経験を持つエンジニアを7万5000人増やす必要があるとしているが、現状では5000人でしかない。
 この現状が中国経済の成長を妨げている。高度な人材の育成は外国資本を引き付けるだけでなく、ソフト開発技術などのハイテク分野でインドを追い越す鍵となる。

 

柏木理佳の今月のひと言
 中国企業だけではないが、企業に注目するとき、女性がトップを占めている、余剰資金があれば開発研究に力を入れている企業がいい。財務諸表をみるとすぐにこういった企業はわかる。
 日本と同様に少子高齢化対策のきっかけとなる女性の雇用の方法は中国のほうが進んでいる。
 女性をうまく活用できている企業がこのさき10年は注目されるだろう。
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